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ヤマブシタケ

ヤマブシタケは森の奥深くに自生する白い球状のキノコで、その採取の困難さから「幻のキノコ」とも呼ばれます。中国では古くから漢方薬として利用されています。
ヤマブシタケに含まれる特有の成分が認知症予防に効果があることが報告され、認知症を防ぐキノコとして一躍有名になりました。

ヤマブシタケに含まれる栄養成分

ヘリセノン

ヘリセノンは、NGF(神経細胞成長因子)を活性化させる働きがあります。NGFとは、いわば神経細胞の栄養剤です。アミロイドβによって破壊された脳の神経細胞を修復、再成長させる働きがあります。
通常、NGFを食べ物から摂取しても、血液脳関門(バリア構造)に阻まれ、脳の必要な部位に届きません。しかし、ヘリセノンは、血液脳関門を通過し、脳内のNGF合成を促進させる作用があることが分かっています。

アミロバン

近年、アミロバンという成分もヤマブシタケから分離に成功しました。ヘリセノンが神経細胞の栄養であるのに対し、アミロバンには神経細胞を保護する機能があります。
脳内に蓄積したアミロイドβの毒性を弱める働きがあり、静岡大学、中国薬科大学をはじめ、国内外の研究施設、クリニックで研究・利用されています。

ヤマブシタケの健康効果

老化した神経細胞の回復を促進

脳の神経細胞の栄養として知られるNGF(神経細胞成長因子)には、加齢による変化から神経細胞の回復を促すはたらきがあります。
NGFを活発化させることで老化に伴って発症しやすいアルツハイマー病の進行を遅延させることが期待され、研究が進められました。しかし、NGFを経口摂取しても、脳機能が改善されないことがわかりました。NGFは大きな分子であり、血液脳関門(バリア構造)を通過して脳に到達できないからです。
その後、経口摂取によりNGFを活性化する方法が研究され、ヤマブシタケに含まれるヘリセノンが血液脳関門を通過して脳内に到達し、NGF合成を促進する機能を持つことがわかりました。

神経細胞の細胞死を抑制

アルツハイマー病のような神経変性疾患は、神経細胞内にある小胞体という袋状の構造に、異常なタンパク質が蓄積することで引き起こされる細胞の死と関連しています。
マウスの神経細胞を用いた研究から、アミロバンは、こうした細胞死を抑制することが報告されています。
アルツハイマー病患者の脳内には、毒性のあるアミロイドβ(ベータ)と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積されることは広く知られいます。アミロバンは、アミロイドβの毒性を減少させる作用をもつことが明らかにされています。
これらの機能から、アミロバンは、アルツハイマー病の予防や初期治療の手段として現在も研究が続けられています。

ヤマブシタケの栄養素を効率的に摂取するには

ヤマブシタケは、自然界では発見することが難しく、一般にはあまり流通していないようです。少量であれば、栽培されているものをオンラインで購入できます。また、アミロバンやヘリセノンが濃縮されたヤマブシタケエキスを配合したサプリメントもあります。

参考文献

岡村 尚昌, 中村 智子
ヤマブシタケから抽出された有効成分をメンタルヘルスに応用する
Journal of Health Psychology Research, 30 (2018)