
米は私たち日本人の主食です。稲の種子である米は、「籾すり」という工程を経て、もみ殻が除去されて玄米となります。玄米から、精米によってぬかや胚芽を除去したものが白米です。
ぬかには、ビタミン、ミネラルや食物繊維が豊富で、白米と比べて、ぬかが除去されていない玄米の方がこうした栄養素が多く含まれています。
玄米に含まれる栄養成分
フェルラ酸
フェルラ酸は、強い抗酸化作用と抗炎症作用をもっています。
さらに最近の研究から、アルツハイマー病から起こる記憶力の低下を抑える新治療に応用できるとして、注目されています。
食物繊維
玄米には、不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収して膨張して腸壁を刺激して腸のぜん動運動を高めることで、便通を整える働きがあります。ただし、不溶性食物繊維は過剰に摂取すると便秘につながる可能性があるので注意が必要です。
ビタミンB群
玄米に含まれるビタミンB1は、糖質を代謝してエネルギーを生み出す反応に関与しています。また、ビタミンB6はタンパク質の代謝と、神経伝達物質の合成に関与しています。
玄米の健康効果
糖尿病の予防
1日に摂取する米の量の約3割を玄米におきかえることで、2型糖尿病の発症リスクが約16%も低下することが報告されています。玄米に含まれている豊富な食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑制することが分かっています。
抗酸化作用
玄米に含まれるフェルラ酸には強い抗酸化作用と抗炎症作用があるので、活性酸素の除去や、慢性炎症を鎮静させる効果が期待できます。
玄米の栄養素を効率的に摂取するには
毎日の食事で、白米の一部を玄米に置き換えることがポイントです。
しかし、こうした置き換えでは、フェルラ酸などの成分は十分に摂取できない可能性があるので、サプリメントや補助食品で効果的に摂取することを検討してもいいかもしれません。
参考文献
青江 誠一郎
穀類に含まれる食物繊維の特徴について
日本調理科学会誌, 49 (2016)
Wang NY, Li JN, Liu WL, et al.
Ferulic acid ameliorates alzheimer’s disease-like pathology and repairs cognitive decline by preventing capillary hypofunction in APP/PS1 mice.
Neurotherapeutics, 18 (2021)
Theresa A. Nicklas, Carol E. O’Neil, Victor L. Fulgoni
Rice Consumption Is Associated with Better Nutrient Intake and Diet Quality in Adults: National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2005-2010
Food and Nutrition Sciences, 5 (2014)